11月28日(金)15時からNTTクレドホール第2会場で、片渕須直監督と谷口広樹監督のトークセッションが開かれました。司会は、広島フィルムコミッションの西崎智子さんです。

これは谷口監督からの熱いラブコールで実現した企画。事前に多くの質問を監督は考えていたそうです。冒頭、片渕監督は「何を聞かれるのかドキドキしている」とけん制、谷口監督は「今回の映画祭で上映される『神の島』の撮影時、戦時中を再現するのに苦労して、『この世界の片隅に』の時はどうだったのか聞きたい」と早速質問を返しました。

資料についての質問
「アメリカが接収した、わずかな軍の資料が返還され、それがデジタル化されて誰でも見られるようになったのと、民間の無名の人の日記が役に立った」と話しました。 日本人の体形についての質問 「今の人と昔の人の歩き方は実は大して変わらない」「戦時中、食べるものがないのになぜか女性がプクプクしていたのは、食べるものが糖質のものしかなかったから太った」「栄養失調になると髪は伸びずに抜けていく」と戦争の当り前描写を否定して見せました。

そして片淵監督の質問
「戦後80年、戦争の記憶を語る人は少なくなったと言うが、それは過去の証言をないがしろにしているのではないか」「実は当時書かれた個人の日記が一番リアルで信ぴょう性が高い」「大きな出来事の記憶よりも、誰もが気にも留めない凡庸な日常にこそ本当に必要な記録かもしれない」と語りました。 最後に映画の役割について聞かれた片渕監督は「未来の人に戦争を形にして残すこと」「日本というくくりだけでなく、ほかの国からの視点も持つべき」と締めくくって対談は終わりました。