
11月28日(金)14:15より、エディオン紙屋町ホールにて映画『かぶと島が浮く日』のワールドプレミア上映が行われました。本作は山口県岩国市を舞台に、閉館した映画館の元支配人・幹夫(松林慎司)と、認知症の父親と向き合えないまま過ごしてきた学生時代からの親友・信弘(ドロンズ石本)が、故郷で自分たちの原点と向き合い直す姿を丁寧に描いた作品です。 監督を務めたのは片山享監督。片山監督は、初の長編映画『轟音』が北米最大級の日本映画祭「JAPANCUTS」NEXT Generation部門に正式出品され、さらにシッチェス映画祭ブリガドーン部門にも選出されたことで注目を集めた新鋭の映画監督です。週刊文春CINEMAでも期待の監督として紹介されており、本作にも大きな期待が寄せられていました。

上映後には、客席で鑑賞していた主演の松林慎司さん、ドロンズ石本さん、佐伯日菜子さん、岡本信人さん、篠田諒さんが登壇し、観客から温かい拍手が送られました。聞き手は映画コメンテーターの鈴木由貴子さんが務め、終始和やかな雰囲気でトークが展開されました。 撮影を振り返り、苦労したシーンについて問われると、佐伯さんは「関東出身のため、山口や広島など地域特有の方言のイントネーションが合っているか不安だった」と語りました。それに対して、山口県萩市出身の岡本さんが「本番は完璧で、さすがだった」と称賛の言葉を贈り、会場には笑顔が広がりました。

作品制作のきっかけについて松林さんは「2020年から岩国市の観光大使を務めており、岩国の街の美しさや人々の姿を映画として発信したいと思うようになった」と明かしました。片山監督は「松林さんが幼い頃に見ていたかぶと島の光景や、変わりゆく岩国駅周辺の景色を作品として残したいという思いから制作した」と語り、作品に込めた思いを共有しました。

最後に片山監督は「岩国最後の映画館で、フィルムが動く瞬間を記録として残せて本当に良かったです」と述べました。松林さんは「本当に多くの皆様に支えられてここまでやってこられました」と感謝を伝え、岡本さんは「たくさんの方に観ていただき、ぜひ岩国にも遊びに来ていただきたいです」とメッセージを送りました。 会場は温かく和気あいあいとした雰囲気に包まれ、上映会と舞台挨拶は大盛況のうちに幕を閉じました。