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新作の短編映画を通してカンボジアの文化を広め、守り続けるという彼の信念に従い『ゴム採取者』を製作したロタ・モエン監督に、映画に込めたメッセージや広島での経験について伺いました。(聞き手:マノン・バウワー)
Q: 広島の印象についてお聞かせください。
A:私にとって広島は2度目です。広島には、暗闇から蘇る不死鳥のようなイメージがあります。ここの人々は、あれだけのことが起きた(にも関わらず)後に新たな復興を果たしたと感じるからです。
Q: この映画では カンボジアにおけるゴム樹液の搾取現場を描いています。映画を通してどのようなメッセージを伝えようとしましたか?
A:すべてのものは時間に抗うことができるということです。何十年も生き続ける木がその現象を体現しています。また、カンボジア北部の少数民族出身の子供たちは、時を経ても自分たちの文化を守り続けるということを表現しています。彼の言語と文化は、その民族が暮らしていた土地をゴム産業に奪われ、ほとんど消滅してしまいました。しかし、彼は祖先がそうであったように、自然との繋がりを保つために、自分の言葉を話し続けています。つまり、世界におけるグローバリゼーションというものが、いかに文化を破壊しうるか、そしてまた、いかに文化を存続させうるかということを表現しました。
〈そして、監督はこの短編映画全体を象徴する言葉を付け加えました〉
「caoutchouc(カウチュウ、フランス語)の意味を知っていますか? caoは木、ochuは涙を意味し、文字通りの意味は泣く木です。その言葉の中にもグローバリゼーションが表れています」と。
Q: 20分の映画の中で、このような意義深いメッセージを伝えることは大変なことだったと思いますが、何か困難はありましたか?
A:私にとって、この作品は初めての短編映画なので、それ自体が挑戦です。2つのチャレンジがありました。一つは母の夢を叶えること。彼女は父と一緒にこの映画に出演していますが、彼女はずっと女優になりたかったのです。実は、私の映画にはプロの俳優は一人しか出演していません。フランスから帰ってきた叔父が、唯一のプロの俳優なんです。母にとっては初めての経験でした。私たちの家族でのボスは母ですから、母を監督することは簡単なことではありませんでした。あるシーンでは19回もテイクを重ねましたが、最後に「あなたが感じること、あなたが望むことをしなさい」と言ったら、それが完璧なテイクになりました。
2つ目の挑戦は、子供が大きな木の上で猿の真似をするシーンです。このシーンは、少数民族が森や精神とつながることを描いています。その子にとっても初めての演技だったので、それを演じるのは簡単なことではありませんでした。
Q :監督の作品がカンボジアの文化や伝統と深く結びついていることがよくわかりました。今後のプロジェクトについてお聞かせください。
A: ずっと映画を作りたいと思っていました。でも、そのアイデアを話したら、周りの人たちからもっと小さいものから始めるように言われました。それで『ゴム採取者』を撮り、いくつかの映画祭に出品する機会にも恵まれました。
今、私の新しいプロジェクトは、実写アニメーションをミックスした映画です。子供の心を通してカンボジアの文化を探求したいと思っています。彼の記憶の中にある瞬間をアニメーションにするのです。
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