広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2024/11/23

新県美展受賞3作品上映「美しく内面の世界を漂う」

11月23日(土)11時からNTTクレドホール第2会場で、第12回 新県美展(第76回 広島県美術展/映像系)受賞3作品が上映され、受賞者2名が来場し解説をされました。聞き手は映画コメンテーターの鈴木由貴子さんです。

大賞『多時間のエチュード』河野淳さん
皿を洗う、洗濯をする、歯を磨く。日常生活を送りながら亡くなった父を想う。父の魂や意識だったものは今どこにいるのだろう?物理学が好きだった父、素粒子や宇宙との繋がり、不確定性原理に興味を持っていた。亡くなる前に父が耳打ちしてくれた。「僕はこれから光のような、波のような、小さな粒になってどこにでも行けるんだ」。
普段は人に話せない様な人間の意識をテーマにした内容ですが、多くの友人から共感された。物理学者も人間の意識は解明出来ていないと言い、それを心の支えに日々のエネルギーにされています。

優秀賞『あらわれ』篠原祐木さん
尾道市因島(いんのしま)の美しい海や自然が映し出されています。地蔵鼻の海は陸との境目が無く印象的な映像。様々な石像や海の風景、空を飛ぶ鳥、鮮やかな花や海の色、波の音、風の音、虫の声が五感に響きます。美しいピアノ音楽はレクイエムを想わせました。
以前は映像関係の仕事でしたが、現在は教職に就き「生徒がキラキラしている姿が映画のように見える」。本作は構成を固めず撮影から入りました。撮りたい場所で時間をじっくり過ごした後に撮影を始め「ひとつの祈りの形を映像と音だけで表現したかった」 

奨励賞『リタリン・コンサータ!』河井那月さん
実写の場面の登場人物を、実像とアニメで表現。ノイズを連想するような印象的な音響です。公園で遊ぶ主人公の映像は、浮遊感のある独自の世界観で引き込まれます。エンドロールでは雰囲気が変わり、現実世界に戻る安心感もありました。

どの作品も人間の内面と外界との境目を考えさせる興味深い作品で、上映後の会場は温かい共感に包まれていました。

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