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ストーリー、映像、タイムマネジメント! 完璧主義な監督は愛妻家
男性である監督が母娘のストーリーを描いた理由について、すでに多くの人々から聞かれたそうですが、監督の父は軍人で、3人の姉妹がおり、監督はただ一人の男の子として育ったそうです。姉妹たちと明らかに違う育てられ方で、彼女たちを守るように男として強くあるよう求められ、母親と姉妹たちの親密さは自分は経験できなかったこともあり、だからこそ題材にしたそうです。
ご自身にはない経験とのことモデルがあったのかを伺うと、映画産業に就く友人がいて、インドネシアではこの仕事に就くと忙しすぎて家のことや子供に構う時間がないので、イスラム教の全寮制の学校へ入れるのだそうです。親はその学校に入れておけば、親の代わりに学校で必要なことを習得して、子供が成功するように育っていくと信じているが、物事はそう簡単ではなく、思わぬことが起こるということを、ストーリーにしました。
母親のエルニが「恋人を作るより目標に集中しなさい、勉学に励みなさい」と強くたしなめるシーンについて、今インドネシアでは女性も男性と対等に勉学に励み、キャリアを身に着けていくことが大事とされているということを表しているそうです。母親はシングルマザーで、娘に父親を明かしていない設定は、二人の間に行き違いを起こし、よりドラマティックな展開にするためだったと言います。
映像が美しく、色使いもきれいだったと伝えると、撮影は一つのカメラ、一つの照明だけで行ったが、カメラは最新のARRI ALEXA 35mmを使っているからだと教えてくれました。色についてはこだわりがあって、母親エルニの服が黄色なのは彼女の温かさを表しており、彼女が娘に会うときのカバンが真っ赤なのは危険の象徴で、カバンの中に問題の手紙が入っているからだそうです。
撮影は11時間で撮りきったそうですが、事前の準備やリハーサルに2カ月かけたとのこと。事前の準備が完璧であれば撮影で困ることはないと思っているので、このプロセスを省いたことはないそうです。その結果、1日で撮り終えることができました。
広島と広島国際映画祭について伺うと、今回『惑星ラブソング』を観て、この映画はオープニングフイルムであるべきだと感じたそうです。その理由は、広島は一つの街というだけではなく、人々が今も悲劇の歴史を抱えているのではないかと思うからです。というのも、今朝早く原爆記念公園へ行ったとき、杖を持った一人の老人がベンチに座り、ただ静かに涙を流している光景に遭遇し、思わず写真を撮りました。朝6時半という時間にあの場所で涙を流している老人の心の中に何があるのか、この街にはまだトラウマがあるのではないか、そう感じたそうです。Hirosihma、Nagasakiは学校の授業で習ったし、映画『オッペンハイマー』も観て、原爆が落とされたところ、という程度の知識はあったが、この場所に来て感じることは大変大きな意味がありました。
最後に「広島国際映画祭には温かく迎えてもらい、実行委員の方々は本当に親切で、ここに来られたことを本当に嬉しく思っています」と感謝の意を述べられ、今度は妻を連れて観客として来てみたいと笑顔で答えていただきました。
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