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11月25日(土)18時から、NTTクレドホール第2会場で石井裕也監督によるティーチインが行われました。同日13時45分からNTTクレドホール第1会場で最新作『月』の上映とトークショーも行われており、石井監督は本日2度目の登場となりました。聞き手はフリーパーソナリティのキムラミチタさんです。
現在は、次回作の撮影と編集作業が終わり、CGや音入れの最中だそうです。その内容は多くは明らかにされませんでしたが、仮想空間を扱った今までに無い作品とだけ教えてくれました。
専門学校で講義をした際のエピソードとして、〝自身が若い頃は不満ばかりで、本当の物は少なく自分の前には無かった〟という話をしたところ、講義を聞いていた180人がキョトンとしたという話をされました。会場には取材で訪れていた崇徳高校の生徒さんをはじめ、若い参加者が多かったこともありこの話をされたようで、所々で高校生に問いかける場面も見られました。
トークは仮想空間の話題に戻り、仮想空間で暮らすことに対して全肯定はできないが、そこに逃げ込もうとする人間の気持ちは理解できるものの危険と感じていると監督。ゲームや動画配信…それらを与えられると抜け出せなくなりそうだから監督自身は近寄らないと話しました。
会場からの質問は、映画『月』について集中し、この映画を通じて学生や10代に向けて「大人になると直ぐにジャッジをしたがるから、分からないものを直視してほしい。分からないことや理解できないことも世の中には溢れていて、分からないことやくだらないことだからこそ、触れてみてほしい。何かの縁でこの映画を見てくれたのであれば『分からないな、気持ち悪いな』でもいいので何かを感じようとしてみてほしい」と思いを語っていました。
この映画がR指定になっている理由について問われると、指定にされた理由は2つあり、1つは大麻。もう1つは無抵抗な障がい者が殺されるシーンだったと答えました。
「映画は本質が見えないものや、みんなが知らないことを可視化するもの。既存の事実から揺さぶりをかける。批判が怖くて思いを表せない表現者が増えていて、思ったことを言えなかったり、間違えを恐れて表現できない空気が、どれほどまずい環境を作っているのだろうか」といった熱い思いのトークが続きました。片側に寄ってもう片側を空けなきゃいけないという風潮があるエスカレーターに、乗ることさえも息苦しくなってしまったと、世の中に対する不満をも明かした石井監督のティーチインでした。
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