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2023/11/26

音楽でつながる家族の物語『ノクターン』上映とトークショー

11月24日(金)12時から横川シネマにて『ノクターン』の上映とチョン・グァンジョ監督によるトークショーが開かれました。

チョン・グァンジョ監督トーク

『ノクターン』は、2008年に30分のテレビ番組として撮影した家族を、10年に渡り撮り続けた監督初となる長編ドキュメンタリー映画です。

音楽の才能を持つ自閉スペクトラム症(ASD)のソンホ、兄・ソンホだけに投資する母親、それに疎外感を感じる弟・コンギという家族の葛藤がリアルに表現され、痛みを伴いながらも人生の美しさや希望を感じられる作品です。

上映後にはフリーパーソナリティのキムラミチタさんの司会進行でトークショーが開かれました。

チョン・グァンジョ監督トーク

この作品について監督は、一種のラブストーリーだと語ります。弟から母へ、母から兄への成就しない片想い…それがこの映画を動かす力なのです。家族のキーポイントは音楽でしたが、出会った時のソンホの音楽は感情が込められていなくて、何も強要しないものでした。それは自閉スペクトラム症に起因すると思われますが、それが監督にとっては純粋で心地よく、その世界を「知りたい」と思ったそうです。

しかし、脚本のないドキュメンタリーの撮影は大変で、撮影した映像の99%がソンホと母の「演奏して食事をする」という毎日の繰り返しでした。映画が完成しないかもしれないという恐怖から逃げたこともありましたが、何か分からない力に引っ張られて現場に戻ってきたそうです。

「コンギは自分の人生を生きようと、もがきながら変化し、ちょうど10年くらいでソンホを理解する気持ちが生まれて希望が見えた。その時に、この映画を終えてもよいかもしれないと思いました」と振り返りました。

チョン・グァンジョ監督トーク

そうして完成した『ノクターン』には長い年月続く生活の中で、変わらないものと変わるものがあるという人生の大切な真実が込められているのです。

撮影で家族の中に入るときに気を付けたことについて聞かれると、カメラを持って透明人間になると答えていました。「質問もインタビューもしません。なぜなら質問すると相手が撮影者の意図をくみ取ってしまい、撮影対象となってしまって、その人自身ではなくなってしまうからです」と話し、撮影の難しさをユーモアを交えながら説明していました。

自閉スペクトラム症というデリケートで重くなりがちなテーマを主題としながら、それは家族の個性だと話す監督。人間への深く暖かい視点を感じさせるトークショーとなりました。

チョン・グァンジョ監督トーク

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