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2023年11月23日(木)14:00から、広島市映像文化ライブラリーで『愛と死の記録』(1966)が上映されました。
舞台は戦後から21年の広島。原爆症を患う印刷会社勤務の幸雄(渡哲也)と、楽器店の店員和江(吉永小百合)の純愛物語。脚本は大橋喜一と小林吉男。監督は『愛の渇き』や『南極物語』で知られる蔵原惟繕です。蔵原監督は呉で19歳の時に原爆を体験。その記憶が『愛と死の記録』に繋がっていると言われています。撮影は広島で行われ、劇中には懐かしい昭和の広島の風景と、このまちで暮らす生き生きとした人々が描かれています。馴染みのある風景がスクリーンに映し出されるたび、会場の広島県民たちは目を輝かせました。
上映後には、蔵原監督の長女、梅澤文子さんをゲストに迎えトークショーが行われました。司会は広島市映像文化ライブラリーの佐藤 武、聞き手は広島国際映画祭代表の部谷京子です。
トークショーでは梅澤さんが父、蔵原監督との思い出を語ってくれました。梅澤さんが高校に入学直後、読書感想文のテーマの本を探していた時のことです。蔵原監督から原爆体験を記した、原民喜の『夏の花』を勧められ、読書感想文を書いて蔵原監督に見せたところ何度もやり直しをさせられたそうです。このエピソードからも、蔵原監督が真摯に原爆と向き合おうとする姿勢が伺えました。
『愛と死の記録』に関しても、他の映画とは違う特別な感情を持っていたという貴重なお話を聞くことができました。『愛と死の記録』の台本はテープで補強され、大切に保管されていたそうです。「他の作品では見たことがありません。『愛と死の記録』だけです」と、梅澤さんはこのテープで補強された台本について説明しました。
映画を象徴する原爆ドーム内での撮影シーンについて、蔵橋監督は「僕にとって一番のご褒美」と口にしてたそうです。そんな蔵橋監督のルーツである広島で開催される広島国際映画祭で映画が上映されることについて、梅澤さんは「(蔵橋監督が)あそこ(天国)でよろこんでいると思います」と笑顔で語りました。
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