広島国際映画祭 | HIFF » ニュース http://hiff.jp Sun, 12 Dec 2021 21:31:05 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=3.9.36 「また来年会いましょう」声高に叫ぶ代表の目には涙が光ってた http://hiff.jp/archives/10424/ http://hiff.jp/archives/10424/#comments Sun, 21 Nov 2021 08:05:48 +0000 http://hiff.jp/?p=10424 11月19日、20日、21日の三日間、NTTクレドホール、広島市映像文化ライブラリー、横川シネマ(1日目のみ)を会場に開催された広島国際映画祭2021の閉幕式が、NTTクレドホール第1会場で行われました。司会進行は日本語がキムラミチタさん、英語がポーリン・ボールドウィンさん。ゲストは『この世界の片隅に』の片渕須直監督、『少女』、『DIVOC-12』の三島有紀子監督です。

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初めに湯崎英彦広島県知事からの挨拶を環境県民局総括官の山中裕之さんが代読、映画祭の文化貢献を讃えました。続いて登壇されたイム・シフン駐広島大韓民国総領事館・総領事は、映画を通しての更なる文化交流の継続を提唱しました。

そして閉幕式が始まりました。初参加の三島監督は、昨年参加した映画祭は全てリモートで人前に出るイベントは久々に嬉しそうでした。崇徳高校新聞部の生徒からの映画って何との質問に、自分が映画に救われた経験から命綱になるような映画を作りたいと希望を述べました。

映画祭13回のうち最多10回参加の片渕監督は、毎年毎年よく話すことがあったなと思いながら気が付くとここに立っている幸せを感じ「また呼んでください」との発言に、部谷京子代表がすかさず「片渕監督は永久ゲストです」と感慨深く話し、嬉しそうでした。

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最後に部谷HIFF代表が「今年は本当に楽しかったです。映画祭初めての監督と出会えたし」と発した後、来年は外国のゲストも呼びたいと強く誓いました。再来年の第15回に向け「来年また、この会場で会いましょう」と高らかに閉幕を宣言すると、会場は大きな拍手に包まれました。

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観客の皆さんと対話したい、という監督の要望で質疑応答が盛り上がったイ・ヨンジュ監督『SEOBOK/ソボク』 http://hiff.jp/archives/10395/ http://hiff.jp/archives/10395/#comments Sun, 21 Nov 2021 08:03:11 +0000 http://hiff.jp/?p=10395 11月21日(日)13:30からNTTクレドホール第1会場で『SEOBOK/ソボク』が上映されました。永遠の命を持つクローンの青年ソボク(パク・ボゴム)と、彼を守ることになった余命わずかな元情報局員(コン・ユ)が繰り広げる決死の逃避行を、2人の間に芽生える絆の行方とともに描いた韓国発のSFサスペンス・アクションです。 メガホンをとったのは、2012年にヒットした恋愛映画『建築学概論』から8年ぶりの新作となるイ・ヨンジュ監督。上映後、リモートで韓国のヨンジュ監督をつなぎ、トークショーが行われました。聞き手は、フリーパーソナリティーのキムラミチタさんです。

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 トークの冒頭で、11月20日に韓国で開催された「第41回黄金撮影賞映画祭」でソボク役のパク・ボゴムさんが新人賞受賞といううれしい知らせがあり、会場から拍手が沸き起こりました。

脚本も手がけたヨンジュ監督は「最初からSFと決めて書き始めたわけではなく、書くうちに発展してSFになっていた。人は何を恐れているかに関心があり、それを1作目のホラー映画『不信地獄』で描ききれなかったので、本作で表現した。人間の欲望はコインの裏と表。この先、成功するのかどうか、健康でいられるかどうか、分からないからこそ怖い。人間のそういう気持ちの揺れや、悩み、成長しながら克服していく姿を作品を通して伝えたかった」と作品への想いを語ってくれました。

主演の2人については「コン・ユには最初にシナリオを渡した。俳優としての実力、責任感もさることながら、映画全体のことを考え、配慮できる人間的にも素晴らしい人。パク・ボゴムは集中力が高く、クローンという特別な役にも演技指導が必要ないほどすぐに入り込んだ。特に目の演技は秀逸。ハードなアクションシーンも多かったが、2人とも運動神経が抜群で、相性も良く息が合っていた。武術の監督やスタッフも皆ベテランでプロフェッショナルに仕事をしてくれたおかげで、難しい撮影もひとつ一つクリアできた」とヨンジュ監督。

「実は、スケジュールの関係でラストシーンを最初に撮影した。流れが見えず現場に緊張感があったが、その後の撮影はスムーズだった」と撮影のこぼれ話も披露してくれました。

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 観客の皆さんと対話したい、というヨンジュ監督の要望で、会場からメールで質問を募集。広島国際映画祭代表の部谷京子も加わり、客席から寄せられた数多くの質問を監督に投げかけると、監督は一つひとつ丁寧に回答してくれました。撮影時のムード―メーカーはだれ? という質問に「私です」と監督が即答すると、客席からはどっと笑いが起こる一幕も。作品を何度も観たという観客も多く、監督は日本語で「ありがとうございます」と感謝を述べていました。

最後に「日本は韓国に一番近い国であり、映画やアニメなど文化的な影響も受け合っている。感情を分かり合え、心理的な距離も近い。チャンスがあれば、日韓で作品を作れるといいと思うし、自分も広島を訪れ、撮影ができるときがくればうれしい。双方の国が影響を与え合いながら、成長できれば、と思う」というヨンジュ監督のメッセージでトークショーが締めくくられました。

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魂と心を和ませたい。アンゲリキ・アントニウ監督作品『グリーン シー』 http://hiff.jp/archives/10399/ http://hiff.jp/archives/10399/#comments Sun, 21 Nov 2021 08:00:28 +0000 http://hiff.jp/?p=10399 11月21日(日)14:00から広島市映像文化ライブラリーで、アンゲリキ・アントニウ監督作品の『グリーン シー』が上映されました。

記憶を失ったアンナが孤独なルーラと出会い、ギリシアの港のそばにある居酒屋で料理人として働き始めます。アンナの料理は地元の人々の古い記憶を呼び起こし、彼女もまた様々な人との出会いから記憶を取り戻そうとするのですが、そんな時、ルーラがアンナの正体を知り、物語は思わぬ方向へ動き始めます。

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作品上映後には、アンゲリキ・アントニウ監督へのオンラインインタビューの録画トークも上映されました。聞き手は比治山大学の貝嶋崇教授です。

まずは監督自らの生い立ちについて聞かれると「建築を学びましたが建築家になりたくなかったのではじめは女優を目指しました。しかし家族の反対もあり、映画を撮るようになりました」と答えました。

『グリーン シー』の主人公アンナについて尋ねられると「アンナはいつも頭の中ばかりで考えていて、孤独とストレスによって記憶障害になった」とアンナの病気について語りました。作中で、見返りを期待せずに食事を提供することで愛を認識していくアンナと重ね合わせて、本当に必要なのは「知識という食事」と答えられ、心を開いてあらゆる知識に触れることの大切さを力強く話しました。

食事の話の流れから好きなギリシア料理について尋ねられると「ガーリックのスパゲティやフリカッセが好き。広島に行ったら作ってあげる」と、監督のチャーミングな一面も。会場が暖かな雰囲気に包まれました。

居酒屋の主、孤独なルーラについては「彼は人生に絶望して希望がないのだけれど、アンナに仕事を与えている人間的な強さがある。人間関係を嫌っているがアンナと接し愛を取り戻すという複雑な過程を描こうと思った」と映画制作の段階を振り返りました。

今後の映画の予定について聞かれると「本音で言えば少し疲れたので充電期間の予定です。すべてを忘れて、海を見て、人生について考える。その後にこの質問に答えたいですね」と晴れやかな表情で答えました。

終始にこやかに質問に答えられた監督。最後に観客の皆様に向けて「アンナが食堂の皆を料理で暖めたように、この映画を楽しんでもらい魂と心を和ませることができたらうれしいです。広島に行くことができず残念ですが、ぜひ楽しんでください」とメッセージを残しました。

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片渕須直監督のティーチイン開催 清少納言が主役の新作について http://hiff.jp/archives/10397/ http://hiff.jp/archives/10397/#comments Sun, 21 Nov 2021 07:50:02 +0000 http://hiff.jp/?p=10397 映画『この世界の片隅に』(2016)などでおなじみの片渕須直監督によるティーチインが11月21日13:30から、NTTクレドホール第2会場で行われました。

片渕監督は広島国際映画祭の参加が今年で10周年、映画監督としてのキャリアが今年40周年、ティーチイン開始時には50人の参加者がクラッカーを鳴らして出迎え祝福しました。「来るな来るなと言われたのは、そういうことだったのか!」と驚く監督に、会場は温かい笑いに包まれました。

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最初に近況報告として、のんさんが監督・脚本・主演の映画『Ribbon』(2022年2月25日公開)の応援PVとして制作された映像『映画と生きる映画に生きる』(監督:樋口真嗣)で片渕監督が俳優デビューしたことを明かし、その映像が流れました。

出演者が全員映画監督で、『孤狼の血 LEVEL2』の白石和彌監督や『モヒカン故郷に帰る』の沖田修一監督ら豪華監督陣がスタッフの役を演じ、白石監督が片渕監督の前に映りこんだ撮影エピソードなども披露しました。

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いよいよ、今回のティーチインのテーマでもある平安時代についての授業と呼ばれる考察が始まりました。

片渕監督は現在、1000年前の時代を描くアニメーション映画を構想中で、清少納言が中宮定子に仕えた993年頃を中心に描く予定です。物語の舞台は京都の中心部。主人公は清少納言の予定ですが、その主人公がかすむほどキャラが立っている人がたくさん登場予定ということです。現在、そのひとりひとりの心情を作成中と最初に説明がありました。

映画は来年の夏に制作が始まり、現在は、準備段階だそうです。これまでコロナ禍でロケハンにも出られなかったそうですが、先日、ようやく京都にロケハンに行かれたそうです。そこから、監督がロケハンで見たものや昔の資料をプロジェクターに映し来場者に紹介していきました。主に平安京の内裏の図案と2015年に発掘された遺跡の写真を重ねて実際どうだったのかという考察や、その時代の人たちの誰がいつ、何の病気で亡くなったのかという監督オリジナルリストなどを披露し、会場は白熱しました。片渕監督は「清少納言が書いたものは生々しくみずみずしい。記憶の途中から切り出したその時見た瞬間の生々しい映像的イメージを文章に書き残しているんです。ビジュアルの資料がない時代に、清少納言が書いた文章が一番のビジュアル資料です」と話しました。

清少納言、中宮定子の物語を取り入れたいと思ったのが2007年だったそうですが、その当時は新型コロナウィルスはなかったと振り返りました。さらに「映画の舞台である平安時代は疫病とは切り離せない時代。現在我々もコロナ禍で生きているけれど昔はワクチンもなく、科学とは縁遠い時代だった。そういう時代があって、歴史は繰り返しているんだよというところを映画で知ってほしい」と訴えました。

その後、参加者からの質疑応答があり、全員で記念撮影をしました。最後は片渕監督が参加者に1本1本花を手渡してティーチインは和やかに終了しました。

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広島県Web公募美術展受賞作品上映と受賞者喜びの声 http://hiff.jp/archives/10393/ http://hiff.jp/archives/10393/#comments Sun, 21 Nov 2021 07:45:32 +0000 http://hiff.jp/?p=10393 11月21日(日) 11:00から、NTTクレドホール第2会場で広島県Web公募美術展一般部門映像系における受賞作品が公開されました。

広島県Web公募美術展では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、広島県立美術館で開催を予定していた「第9回新県美展(第73回広島県美術展)」(令和3年6月26日~7月11日)を中止したことに伴い、引き続き制作活動を奨励するとともに、美術鑑賞の機会を提供する観点から、インターネットを活用して美術作品を公募し、優れた作品を公開しました。874点の応募があり、厳正な審査の結果、498点が入選しました。

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一般部門映像系では、大賞に『外れ』の山崎貴美さん、優秀賞に『Archive』の川島桃花さんと『めぐる』の樫部さおりさん、奨励賞に『水の散歩』の藤本琴葉さん、『イヌと井戸とニンゲン』の椋田サラさん、『探求心』の三村真輝さんが賞を獲得しました。

会場ではその6作品が公開され、それぞれの個性を生かした作品に会場が引き込まれました。『水の散歩』は、コップの中の水が猫を象り、コップから飛び出してちょっとした冒険をするというもの。手書きのイラストで、日常の中で起こった少しだけ不思議なことを表しました。『イヌと井戸とニンゲン』は森の中にポツンとある井戸にニンゲンが引きずり込まれてしまうというもの。可愛らしい人形と裏腹なホラーチックな展開に引き込まれました。『探求心』は、霧の中を歩いている女の子が建物を見つけ、その中に浮かぶ光に興味をもって歩き続けるというもの。3次元コンピュータグラフィックス (3DCG) で描かれる世界はとても幻想的でした。『Archive』は、浴槽の中に沈む写真を女性が一つ一つ紹介していくというもの。題材はシンプルですが、途中でノイズのように入る映像や色が少ない画面、音が女性の声と流水音のみなことも合わさって、じわじわと不安が押し寄せました。『めぐる』は「竹取物語」の終わりと始まりのその間。月に帰ったかぐや姫をテーマにしたものでした。月で暮らすかぐや姫は愛する人を思い出し、悲しみに涙を流します。最後には光る竹とおじいさんの後ろ姿が映り、また新たなかぐや姫の物語が始まることを予感させました。『外れ』は切り絵を用いて、人と人とのつながりをコミカルに表現しました。多彩な声とテンポよく進んでいくストーリーに、見ていて思わず笑顔になってしまいました。

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その後、受賞者に制作についての意図やこだわり、大変さを伺いました。今回、椋田さんは欠席でした。大賞を受賞した山崎さんは、「コロナ禍の状況でも、見ている人がくすっと笑えるような作品を作りたい」と語りました。何事も続けることは難しいが、これからも制作を続けていきたいと語る受賞者に、大きな拍手が贈られました。

最後に集合写真を撮り、和やかな雰囲気で美術展が終了しました。

広島県Web公募美術展のその他の作品についても、12月31日まで専用ウェブサイトにて展示しています。素晴らしい作品をぜひご堪能ください。

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コロナ禍でのエンターテインメントを活気づける作品『DIVOC-12』が上映されました! http://hiff.jp/archives/10390/ http://hiff.jp/archives/10390/#comments Sun, 21 Nov 2021 07:00:03 +0000 http://hiff.jp/?p=10390 11月21日(日)9:30よりNTTクレドホール第1会場で、『DIVOC-12』が上演されました。

『DIVOC-12』は新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けたエンターテインメントを活気づけるため、藤井道人監督、上田慎一郎監督、三島有紀子監督それぞれが率いる3チームのもと、計12人の監督が制作した短編映画集です。

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上演後には藤井監督、上田監督、三島監督を迎えてトークショーが開催されました。聞き手はキムラミチタさんです。大きな拍手で迎えられた3監督は広島やカープについての話題で盛り上がった後、各チームでの撮影について聞かれると、上田監督は「お互いの撮影を見に行くと普段と違う視点で意見が出たりして新鮮で、いい意味で作品がかき混ぜられる」と話し、三島監督も強く共感しました。

藤井監督は二人とは異なり、若い監督に一人で悩むことを経験させていたと話しました。それぞれ自身の作品について問われると、『名もなき一遍・アンナ』を制作した藤井監督は「自主映画時代を思い出し楽しかった」、『よろこびのうた Ode to Joy』の三島監督は「短編映画の中で重要なところを描かないことで観客に想像してみてほしい」、そして『ユメミの半生』の上田監督は「バーチャルプロダクションという最新技術を使った撮影が映画の未来を作る何かになれば」とそれぞれ語りました。

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コロナとエンターテインメントの展望について藤井監督は「コロナ禍での映画製作が当たり前になっている現状について驚きを感じている」と、これまでの撮影現場を振り返りました。上田監督は未来はわからないとしながらも、「作りたい未来を選んで、それを正解にできるようにエンターテインメントや行動で提示していくしかない」と、力強く語りました。三島監督はコロナがきっかけで見えてきたことを見つめていきたいと話しました。

最後に広島国際映画祭部谷京子代表が3監督に花束を贈呈し、会場は大きな拍手に包まれました。3監督は広島国際映画祭での再会を約束し、トークショーは大盛況に終わりました。

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海外監督による『短編ショーケース』録画トークを上映 http://hiff.jp/archives/10372/ http://hiff.jp/archives/10372/#comments Sat, 20 Nov 2021 14:30:15 +0000 http://hiff.jp/?p=10372  11月20日(土)17:30から広島市映像文化ライブラリーで、海外監督による短編映画4作品が上演されました。上演後には各監督へのオンラインインタビュー形式の録画トークも上映。

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『猫とハエ』ツァオ・シーハン(監督) 聞き手:安田女子大学ジョン・マクリーン准教授

映画では漁師と売春婦が登場しています。なぜ、こういった社会層をテーマにしたのですか

――実際に港を訪れて苦しそうな生活を目の当たりにしました。しかし、その生活の中で彼らは生きることに前向きで、その姿を描きたいと思いました。私たちは豊かな暮らしをしていますが、その生活の中で困難もあります。困難に慣れていない、豊かな暮らしをしている人はメンタルが弱く、貧しい暮らしをしている人はメンタルが強いように思います。そのような互いの精神の関係性を描きたかったです。

映画を見る方に伝えたいメッセージはありますか

――一見、彼ら(扇風機を盗んだ漁師と売春婦)がしていることは悪いことに見えるでしょう。しかしそれらの行動は彼らが生きるために行っていることです。批判をする前にその行動の意味を考えてほしいです。彼らの生活を知ってほしいです。また、貧しい暮らしをする彼らは笑顔を絶やしていない、そんな彼らから私たちは学ぶべきだと思います。

 

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『スウィンギン』グオ・シャン・シング(監督) 聞き手:安田女子大学ジョン・マクリーン准教授

映画の中で同性愛者の親を持つ子をいじめるシーンがありましたが、親が差別的偏見を持つ場合その子供のいじめは正当化されると思いますか

――この問題についてはすべての親に考えてほしいです。台湾では今、そういう課題がたくさんあります。育児に関する問題や、同性愛者のパートナー間の子供を引き取るのか、精子提供により授かるのかという問題もありますしね。

同性愛の二人の父について、「男らしい父、女らしい父」と一般的な男性像と女性像を使ったのはなぜですか

――この作品はすべての親を対象にしています。異性愛者の親でもプレッシャーを感じることなく見られるように意図しました。ありふれる親の像を用いることで映画の構図に、より注目してくれるとも思いました。

映画を見ている人に一番伝えたいことは何ですか

――観客が感じた前向きな力や感情を大切にしてほしいです。かくれんぼのようなもので、こちらの意図を全部でなくても感じ取ってほしいです。そしてとにかく前向きになってほしいです。

 

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『ぶらぶらタイガー』アナスタシア・ファリレイエヴァ(監督) 聞き手:広島フィルム・コミッション西崎智子

なぜ日本が舞台なのですか

――私は日本の文化の大ファンです。宮崎駿監督、新海誠監督、細田守監督などを尊敬しています。日本についての自身の一回目の作品がうまくいったので、この二回目の作品、そして次の三回目の作品も日本について撮ろうと思いました。

カツミのキャラクターは自身を投影したものなのでしょうか

――それは本当に私自身です。半分ドキュメンタリーだと思っています。これまでの私自身の悲しい経験とそれを克服する方法を示して、希望を示したいと思いました。そして、もっと作品と観客を結びつけるために、アニメーションではなく実際に私が登場しました。

作品の冒頭に「この作品ではごみを使っています。そしてそれに命を吹き込んでいます」とありますが

――これは自身の一作目でも行いました。消費社会の宿命といいますか、どれだけのものを捨てているのかを表したいと思いました。リユースが大切だということも表したいです。また、撮影がより安く済みますし、地球に優しいですしね。

 

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『私はいつも手袋を忘れるの』ナターリャ・ベロワ(監督) 聞き手:木下順介(俳優)

なぜ俳句というテーマを選んだのですか

――子供のころから俳句に親しんできていて、俳句の世界観が好きです。小さなころから俳句を書いて、コンクールに出したりもしていました。

映画を通して日本の皆さんに伝えたいことは何ですか

――恋愛する男女は常に何かを抱えています。そして男女間の食い違いが必ずあります。それを表現したいと思いました。その微妙な感じが日本に伝わればいいと思います。

どのようにキャスティングしましたか。

――女性は子供からの知り合いで外見がぴったりだったので。男性は女性と合うような、すれ違いを表現できるような人をいろんな劇場を回って見つけました。ロシア、欧州では短編映画が評価されているので、日本の皆さんも短編映画を撮ってほしいです。(木下)

日本に来たことがないと聞きましたが、日本についてはどう思っていますか

――イメージとしては魂というものを感じます。繊細で清潔で、いらないものがそぎ落とされてシンプルで、そういったイメージが重なった様式美を感じます。すべてをオープンにせず、神秘的でまるでおとぎ話のような世界観です。それらを作品で表現しました。実際に日本に来て体験したいです。

映画を通してロシアのことを知ってもらえると嬉しいです(木下)。

 

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「こんなに協力的な街ってありませんよ。感謝しかない」と白石監督語る http://hiff.jp/archives/10370/ http://hiff.jp/archives/10370/#comments Sat, 20 Nov 2021 14:00:08 +0000 http://hiff.jp/?p=10370 11月20日(土)『孤狼の血 LEVEL2』上映後、19:50からNTTクレドホール第1会場で白石和彌監督のトークショーが開かれました。

司会はフリーパーソナリティーのキムラミチタさんです。トレードマークの帽子を被り登壇した白石監督に、満員の会場から大きな拍手が起こりました。直前に行われたティーチインのプログラムでは監督デビューまでのいきさつを話した監督でしたが、本トークショーでは『孤狼の血 LEVEL2』について語りました。

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始めに「前作の『孤狼の血』の時は他の撮影があって映画祭に参加できなかったが、やっと来れてうれしい」と監督が話すと、会場から大きな拍手が起きました。なぜ続編がオリジナルになったかという質問に「役所広司さんが抜けた穴が大きくて、そのまま原作の続編は難しいと判断しました。そこでオリジナルストーリーを作ってみようかと思い、原作者の柚月裕子さんにも台本を見てもらってOKをもらいました。

前作は大神と日岡のミステリーもありましたが、今作はそれだけでは壁を越えられないのでアクションも入れてオーバーにしていき、結果1作目よりエンターテインメント色の強い方向に舵を切ったものになりました」と答えました。コロナ禍での映画制作について「一回目の緊急事態宣言からスタッフも役者も仕事がなく、それ以来で仕事が久しぶりだった。こんなに仕事が空くこともなく、何のために映画を作るのかを改めて考えることもできた」と制作時を振り返りました。

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 途中でさいねい龍二さんも登場。さいねいさんは主演の松坂桃李さんについて「前作より精悍になった」と語り、鈴木亮平さんについても「あれだけ売れても変わることなくいい人だ」と高く評価しました。娯楽映画でありながら広島の闇の部分を挿入したことについて監督は「エンターテインメントに社会問題を含めることで、知らなった人が話題にするようになる」とその意図を伝え、この映画で死んでいくのが虐げられた人たちばかりの理由を考えてほしいと語りました。

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ロケ地選びでは、家の中で目をくり抜くシーンや穴を掘って死体を入れて燃やしてもいい豪邸が必要だったため、中々OKを出してくれるところがなかったそうです。それでもなんとか貸してくれる所は見つかり、ロケ地の呉市について「呉市は寛容で市長も協力的だった。無理難題を突き付けても快く協力してくれる最高の人々で、感謝しかない。ロケ地マップも作成してもらい一生の宝物になった」と微笑みながら語りました。また、街中の激しいカーチェイスを市長自らが「ガンガンやってください」と応援してくれたと話すと会場は笑いに包まれました。

最後に、制作が決定した第3作について「まだ脚本は出来上がってはいないが、もちろんまた広島で撮ります」と声高に宣言すると、会場から万雷の拍手が巻き起こり、盛り上がったトークショーは幕を閉じました。

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より幅広く作品を鑑賞してもらえることがうれしい『きみの瞳(め)が問いかけている バリアフリー版』三木孝浩監督 http://hiff.jp/archives/10323/ http://hiff.jp/archives/10323/#comments Sat, 20 Nov 2021 12:35:43 +0000 http://hiff.jp/?p=10323 11月20日(土)14:30からNTTクレドホール第1会場で『きみの瞳(め)が問いかけている バリアフリー版』が上映されました。

不慮の事故で視力と家族を失った明香里(吉高由里子)と、罪を犯してキックボクサーとしての未来を絶たれた塁(横浜流星)が出会い、生きる気力を取り戻し再出発しようとするラブストーリーです。メガホンをとったのは三木孝浩監督。上映後は、リモートで三木監督によるトークショーが行われました。聞き手は映画コメンテーターの鈴木由貴子さんです。

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本作は韓国で大ヒットした『ただ君だけ』のリメイク作品であるとともに、盲目の花売り娘のに無償の愛を注ぐ男を描いたチャールズ・チャップリンの名作『街の灯』が原点にあります。完全バリアフリー版の本作では、音声ガイドナレーションと日本語字幕が付くほか、上映前とトークショーでは舞台上で手話通訳が行われ、小型スクリーンに要約筆記が映し出されました。手話は一般社団法人広島県ろうあ連盟広島県手話通訳派遣委員会、要約筆記は特定非営利活動法人広島市要約筆記サークルおりづるの皆さんによって行われました。

『僕等がいた』など、みずみずしい恋愛映画を数多く手掛けてきた三木監督ですが、実は大の格闘技好き。本作のアクションシーンに意欲を見せ、オファーを二つ返事で受けたと言います。「国際青少年空手道選手権大会で優勝経験のある流星くんは、撮影前にキックボクサーのコーチのもとで練習し、筋肉を10キロ増量して撮影に臨みました。吉高さんとは撮影前に東京視覚障害者生活支援センターを訪れ、フライパンにひく油の量を指で確かめる所作など、障がい者の日常の動作などを学びました」と主役2人のエピソードを披露。

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本作品で監督が重視し、工夫したのがライティング。「2人の幸せのピークを象徴するキスシーンを包むあたたかい光にこだわりました。このシーンを際立たせるため、相対的に別のシーンを暗くしたりもしています。また、明香里に出会い、塁の目が輝きをとり戻していく様子を流星くんの前髪の長さを変えて演出しているんです」とも。

BTSが主題歌「Your eyes tell」を歌っていることでも話題になった本作。オリジナルが韓国作品でもあり、ダメもとでBTSへオファーしたところ、『ただ君だけ』はメンバーも好きな作品で、とんとん拍子に話が進んだとのこと。

「バリアフリー版として、より幅広い方々に作品を鑑賞してもらえる機会が増えてうれしい。これからも、映画のキャラクターが作品の中で成長していく物語を描いていきたいです。子どもの頃から大林宣彦監督の大ファン。機会があればぜひ、広島を訪れたいです」という三木監督のコメントに、会場から大きな拍手が送られました。

三木監督の次回作として2022年夏に公開予定のハートフルコメディ『TANG タング』が控えています。

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白石和彌監督 ティーチイン http://hiff.jp/archives/10329/ http://hiff.jp/archives/10329/#comments Sat, 20 Nov 2021 12:28:35 +0000 http://hiff.jp/?p=10329 11月20日(日)16:30から『孤狼の血 LEVEL2』の白石和彌監督によるティーチインが開催されました。

広島を舞台にした映画ながら、シリーズ1作目の『孤狼の血』(2018)では撮影のため広島国際映画祭(HIFF)で上映されず、白石監督は今回が初めてのHIFFへの参加となりました。普段、アウトローの映画を撮っている監督とは思えないようなユーモアで笑いを誘い、会場は時間が経つのを忘れるほど盛り上がりました。

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小さい頃どんな子供だったかという聞き手の質問に監督は、活発でスポーツや読書など、色んなものに興味を持っていたと答えていました。映画に触れたきっかけは、祖父が営んでいた食堂で「店がバス停の近くだったため、映画関係者がポスターを張りに来ていました。そのお返しとして映画のチケットを大体2枚もらい、長男である自分が祖母や叔母に連れられて色々な映画を見ていました」と懐かしげに当時のエピソードを話してくれました。

映画の裏側が分かるコラムを読むのが好きで、映画業界に興味を持ったという監督。「コラムは楽しくて読んでいました。(撮影現場では)毎日お祭りをやっているっぽいぞ!と思っていて、実際にそうでした」と楽しそうに話しました。若松孝二監督や大島渚監督などのエピソードを引き合いに出しながら「人と違った考えを持っている人がなるもので自分には(映画監督は)難しいと思っていたけど、助監督を10年ほどやっている中で(助監督をしていた作品の監督より)絶対俺のアイデアの方がいい映画になったと思うことが増えてきたんですよね。それで自分で一本撮ってみようと」と、映画監督になることを決断したと語りました。

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 「監督にとって映画とは?」と聞かれた監督は、始め「現在は仕事です」と即答したものの「常に面白いものを作りたいと考えています。その中にお客さんの喉の奥に小骨が引っかかるようなものを作れれば」と語り、最後に言い直すように「自分にとって(映画は)人生です」と強調した監督に、会場から大きな拍手が巻き起こりました。

主人公・日岡役の松坂桃李が痰を吐くシーンについて参加者から聞かれると、監督の中で「ヒーローには痰を吐かせるというルールがある」ということも明かしてくれました。

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